複線図が覚えられません、という状態でずっと止まっていました。

テキストを読む。書き方が載っている。なるほどと思う。次の日にはもう出てこない。また読む。また忘れる。

わたしは、記憶力の問題だと思っていました。 50を過ぎて、覚えられなくなったのだと。

違いました。覚えようとしていた量が、多すぎただけでした。

覚えようとすると、対象が増え続けます

複線図を「覚えるもの」として扱うと、こうなります。

  • 電源から書き始める、ということを覚える
  • 接地側は白、ということを覚える
  • 非接地側は黒、ということを覚える
  • スイッチから照明への線は赤、ということを覚える
  • コンセントには黒と白が入る、ということを覚える
  • 3路スイッチは線が2本行き来する、ということを覚える
  • パイロットランプは点き方で変わる、ということを覚える

まだ増えます。

そして、これを全部覚えたつもりで問題を開くと、どれが今の場面に当てはまるのかが分かりません。

覚えた量が増えるほど、選ぶのが難しくなる。覚えれば覚えるほど、書けなくなっていました。

わたしが実際に覚えたのは、これだけでした

抜けてから振り返ると、暗記していたのは3行でした。

行き先
青(白線)ランプ類とコンセント
スイッチとコンセント
スイッチ から ランプ へ

行き先だけです。

「どういう場合に何色を使うか」ではありません。その色が、どこへ向かうか。 それだけを覚えました。

行き先が決まっていると、何が起きるか。選ぶ場面が発生しません。

青はランプへ行くと決まっているので、ランプを見つけたら青を引くだけです。「ここは何色かな」と考える場面がありません。

残りは、覚えなくても出てきます

覚える対象を3行に減らせたのは、残りを消去法で出せるようになったからです。

書く順番は、4つだけです

順番はこうなります。

① 電源を書く
② 青(接地側)を書く      → ランプ類とコンセント
③ 黒(非接地側)を書く    → スイッチとコンセント
④ 残ったところが、赤

④で「これは何色だろう」と考えていません。 ②と③で埋めた結果、残ったものがそれだと決まっているからです。

同じ考え方が、ケーブルの色にも使えます

同じことが、実際のケーブルを割り当てるときにも使えます。黒はなるべく黒に、白はなるべく白に。埋まらなかったところが、残りの役割になります。

同じ考え方を2回使っているだけです。 別のルールを2つ覚えているわけではありません。

覚える量が減ったのは、記憶のコツを見つけたからではありませんでした。覚えなくても出てくる形に、並べ替えただけです。

どうしても覚えるしかないものもあります

全部が消去法で出るわけではありません。

たとえば、切断するときに器具ごとに足す長さは、試験のルールとして決まっています。 理屈で導けるものではないので、これは覚えるしかありません。

ただ、そういうものは、そんなに多くありません。

覚えるものと、覚えないものを分ける

わたしがやったのは、この線引きでした。

扱い
理屈で出せるもの覚えない。 消去法で出す
理屈で出せないもの形のまま覚える。 ただし、その数はごく少ない

覚えられないと感じていたのは、この2つを混ぜていたからでした。 消去法で出せるものまで暗記しようとしていたので、量が膨らんでいたのです。

なお、覚えないと決めたもののなかに、毎回読まないといけないものがあります。公表問題13問を並べたところ、問題ごとに変わるのは4つだけでした。→ 複線図で毎回読むのは4行だけ|覚えるところは、もう決まっています

それでも忘れる、という方へ

わたしも忘れます。いまでも忘れます。

覚えるのをやめて、その場で紙に書く

だから、忘れても大丈夫な形にしました。

複線図を書いている途中で分かったことは、その場で紙に書き込みます。頭の中に置いておくと、35分後には消えています。書いた瞬間に、覚えておくという仕事が終わります。

複線図は採点されません。提出もしません。自分が読めればいいので、書き込みすぎて困ることがありません。

「覚える」から「書いておく」に替えると、記憶力の話ではなくなります。わたしはこのやり方で通りました。

覚える量を減らすところに行き着くまで、わたしはだいぶ遠回りをしました。その道のりは複線図が「呪文」に見えた話に書いています。

練習の量について

最後にひとつだけ。

上のように整理しても、書く回数はやっぱり要ります。 これは正直に書いておきます。

1日1問だけで足ります

ただ、まとめて長時間やる必要はありませんでした。効いたのは、1日1問、ランダムに選んで書くというやり方です。5分もかかりません。

筆記のうちから始めたほうが、後がラクです

なお、複線図に触れるのは技能試験に入ってからでは遅いです。筆記のうちに筆記の複線図をやっておくだけで、後がまったく違います。わたしが筆記にかけた教材と金額は筆記にかかった費用にまとめました。

まとめ

複線図が覚えられないのは、記憶力の問題ではありませんでした。

覚える対象が多すぎた
 ↓
覚えなくても出てくる形に、並べ替える
 ↓
実際に覚えるのは「行き先」3行だけ
 ↓
残りは消去法で出る
 ↓
それでも忘れるものは、その場で紙に書く

覚え方を工夫したのではなく、覚える量を減らしました。

書く順番そのものについては第二種電気工事士|複線図の書き方に、そもそも1本も書けないという段階の方は複線図が書けない人へのほうにまとめています。