複線図の練習で、わたしは何度も止まりました。

回路が分からないわけではありません。三路も理解している。単線図も読める。それなのに、書き始めると手が止まる。

原因は、線の引き方ではありませんでした。

色で迷っていたからです。

止まるのは、判断が多すぎるからです

複線図を書いているとき、頭の中ではこれが常に走っています。

この線は白か、黒か
スイッチ線はどっちだ
渡り線は何色にする

回路を理解することとは別に、「色の判断」が1本ごとに入ってきます。1回は数秒でも、1枚を書き上げるまでに何十回も来ます。

難しいから止まるのではありません。判断が多いから止まります。

結論:決めるのは3色だけです

先に答えを書きます。

白 … 電源からの接地側
黒 … 電源から点滅器まで
赤 … 残ったところ

これだけです。この3つを決めてしまえば、書いている途中で考える場面がほとんど無くなります。

わたしの感覚では、ここができた時点で7割は終わっています。残りは、問題ごとの細かいところと例外だけになります。

そもそも、色は自分で決めていません

ここが、いちばん大きいところです。

白と黒は、問題用紙の「施工条件」に書いてあります。決めているのは自分ではなく、試験センターです。

①電源からの接地側電線には、すべて白色を使用する。②電源から点滅器などまでの非接地側電線には、すべて黒色を使用する。

出典:令和8年度上期 第二種電気工事士技能試験(2026年7月19日実施)候補No.1 問題

令和8年度上期の13問を全部確認しましたが、この2つは13問すべてに入っていました。問題が変わっても、ここは変わりません。

つまり「白と黒をどうするか」で悩む必要は、最初からありませんでした。この話は複線図でやることはこれだけ|白と黒はもう決まっていますに詳しく書いています。

白|紙の上に、白い線は書けません

ここで、最初の壁が来ます。

白い線を引こうとしても、白い紙の上では見えません。当たり前の話ですが、実際にやろうとして初めて気づきます。

なので、白い線には別の色を当てます。わたしは水色にしました。

理由は、いちばん見分けがつきやすかったからです。赤・黒・水色は、濃さが違います。形をたどらなくても、色の濃さだけで「これは白線だ」と分かります。

白を何色で書くかは、決まりがあるわけではありません。青でも水色でも構いません。大事なのは、毎回同じにすることです。

黒|電源から、点滅器まで

黒は、施工条件のとおりです。電源から点滅器(スイッチ)までを黒で書きます。

ここも自分で決める場面がないので、迷いません。白を引き終わったら、次は黒。それだけです。

白と黒を入れる器具の端子も、問題用紙で指定されます。呼び名が器具ごとに違うだけで、意味はどれも同じです。

ランプレセプタクル      … 受金ねじ部の端子
引掛シーリングローゼット … 接地側と書いてある端子
コンセント              … W と書いてある端子

赤|選ぶ色ではなく、残る色です

13問の施工条件を読んで、いちばん意外だったのがここでした。

赤色の指定は、13問中1問しかありません(No.4の200V回路だけ)。残りの12問で、赤の行き先は指定されていません。解答例のほうにも「電線の色別は問わない」と書かれている問題が6問あります。

つまり赤は、選ぶ色ではありません。白と黒を引いたあとに、残る色です。

ここが分かってから、赤で悩む時間がゼロになりました。悩んでいた時間は、悩まなくていい時間でした。

だから、書く順番はひとつに決まります

① 白を書く … 決まっている。迷わない
② 黒を書く … 決まっている。迷わない
③ 赤を書く … 残ったところをつなぐだけ

「どこから書けばいいか分からない」の答えは、白からです。

毎回この順番で書きます。問題が変わっても、順番は変えません。順番を固定すると、次に何をするかを考えなくてよくなります。

わたしが1枚を5分で書けるようになったのは、手が速くなったからではありません。③で考えなくて済むようになったからです。その練習の進め方は複線図を5分で書く3つのルールに書きました。

ここまでで、7割は終わっています

これはわたしの感覚ですが、色が決まった時点で、複線図の7割は終わっていると思っています。

「書けない」と言っている人の悩みは、その多くがここに集まっています。回路が分からないのではなく、1本ごとに色を決めさせられていて、手が止まっている。わたしがそうでした。

3色を固定するだけで、そこが消えます。

残りの3割は、細部と例外です

正直に書いておきます。3色を決めただけでは、全部は書けません。

残っているのは、この2つです。

① 問題ごとに変わるところ
② 例外

①は、施工条件の中で問題ごとに変わる行です。接続方法・接続の本数・埋込連用取付枠・接地線と端子台の4つでした。ここは毎回読み直す必要があります。詳しくは複線図で毎回読むのは4行だけ|覚えるところは、もう決まっていますに書きました。

②の例外は、たとえばこういうものです。

No.4 だけ 200V回路で、赤に指定がある
No.10 だけ 接続の本数が指定されている
端子台が出る問題では、器具を読み替える

例外は、1問ずつ潰していくしかありません。まとめて覚えられる形にはなっていないからです。

ただ、その作業に入れるのは、3色が固まってからです。色で迷っている状態で例外に手をつけると、どこで間違えたのかが分からなくなります。

施工までは3段階。ただし、1段階目を超えれば大きく進みます

手を動かし始めるまでの流れは、こうなっています。

① 線の色を決めて、複線図を書く       ← ★この記事。ここがいちばん重い
② 同じ図面に、切るケーブルと長さをマーカーで確定する
③ 同じ図面に、実際のケーブルの色を書く

②と③は、どちらも同じ1枚の図面に書き足していきます。そうすると、図面と目の前の材料が一致します。その状態になって、はじめて施工に入れます。

3つ並べると多く見えますが、重さがまるで違います。

止まっている人のほとんどは、①にいます。そして①を超えてしまえば、②と③は書き足すだけの作業です。迷う場面はほとんどありません。

つまり①さえ抜ければ、そこから先はかなり進みます。

だからこの記事は、①だけに絞って書いています。②と③は、別に書きます。

まとめ

  • 止まる原因は、回路ではなく色の判断
  • 決めるのは白・黒・赤の3色だけ
  • 白と黒は施工条件で決まっている。13問すべてに同じ指定が入っていた
  • 白は紙に書けないので、水色(青)で書く。毎回同じ色にする
  • 赤は選ぶ色ではなく、残る色。指定は13問中1問だけ
  • 順番は白 → 黒 → 赤で固定する
  • ここまでで7割。残りは問題ごとの細部と例外

複線図は、センスで書くものではありませんでした。考えなくていいことを、先に決めておくだけです。

まだ何から手をつけていいか分からないという方は、第二種電気工事士の複線図が書けない人へから読んでみてください。実際に何で書いていたか(ペンの色と太さ)は複線図の白い線は、水色で塗ります|使ったペンは3本ですにまとめています。

※ 引用した施工条件は、令和8年度上期 第二種電気工事士技能試験(2026年7月19日実施)の公表問題によるものです。内容は年度によって変わることがあります。受験される回の問題・解答で、ご確認ください。