技能試験の練習をしていて、こういう状態になったことはないでしょうか。

作品は完成した。時間も少し余っている。でも、何を見ればいいのか分からない。

とりあえず器具の向きを見て、ねじの締まりを見て、線がちゃんと入っているかを見る。それで「まあ大丈夫だろう」と終わる。

わたしはそうでした。そして、外から見て分かることしか確認していませんでした。

誤結線は、外から見ても分かりません。

「最後に見直せばいい」が効かない理由

見直しの時間を最後に取っておく、という考え方はよく聞きます。わたしも最初はそのつもりでいました。

うまくいきませんでした。理由は3つあります。

① 時間が残らない

40分です。切って、剥いて、器具に付けて、つないで、そこまでで時間はほぼ埋まります。

「最後に見直す」を前提にすると、その見直しの時間を、前の作業が食べていきます。 前が押した日は、見直しがゼロになります。

② 終盤は、いちばん判断が鈍っている

30分以上、細かい作業を続けたあとです。手は痛いし、頭も回っていません。

一番集中力が落ちている時間帯に、一番大事な確認を持ってくることになります。

③ 見つけても、直せない

これが一番大きいです。

圧着を間違えていた場合、直すには切ってつなぎ直すしかありません。 線は短くなります。材料は限られています。そして終盤は手が痛くて、物理的にもう一度圧着できるか分かりません。

「最後に見つける」は、「一番直せないタイミングで見つける」ということでした。

わたしは本番で、これをやっています

本番で、結線する芯線を取り違えました。

気づいたのが終了8分前です。そこから切ってつなぎ直して、残りの接続を終えて、完了したのが1分前でした。体感では、ほぼ同時に「やめてください」の合図です。

このときのことは本番でリングスリーブの刻印を間違えた話に詳しく書きました。

ここで言いたいのは、間に合った理由のほうです。

わたしが8分前から立て直せたのは、確認の手順を持っていたからではありません。8分という時間が残っていたからです。

そして8分が残っていたのは、複線図を5分で書き終えて、手が止まらないように毎日練習していたからでした。余白は、最後に取っておくものではなく、前半の結果として出てくるものでした。

だから、確認する場所を振り分けました

確認の回数を増やしたわけではありません。確認する場所を決め直しました。

基準はひとつです。取り返しがつくかどうか。

いつ確認するか
取り返しがつかない/直すのが大変その場で。作業しながらリングスリーブの圧着/切断の長さ/輪づくり
あとから状態が変わりうる最後でよいゴムブッシング

ゴムブッシングが最後でいい理由

途中で直しても、そのあとの結線作業で、また外れます。

結線中はケーブルを引っ張ったり回したりします。ブッシングは、その動きで簡単に浮きます。だから、途中で確認しても無駄になります。

状態が変わるものは、変わらなくなってから見る。 それだけの話です。

圧着がその場でなければいけない理由

逆に、リングスリーブはあとから直せません。

  • やり直すには切ってつなぎ直すしかない。線が短くなる
  • 圧着マークの間違いは、それだけで欠陥になる
  • 材料は限られている
  • 終盤は手が痛い。 もう一度握れるか分からない

だから、圧着は握る前に確認します。 握ったあとに見直す対象ではありません。

直すのが大変なもの   → その場(あとでは直せない)
状態が変わるもの     → 最後(先にやっても無駄になる)

「1つずつ終わらせる」が、見直しの代わりになります

振り分けをすると、結果としてこうなります。

最後にまとめて見直すのをやめて、1つずつその場で完了させていく。

これは丁寧にやるという話ではありません。時間を作る方法でもあります。

何が起きるか
設計(複線図)で止まる後ろの作業時間が食われる
施工で戻る(やり直し)二度手間になって足りなくなる
1つずつ確実に前へ時間内に収まる

戻る作業が発生しなければ、時間は足ります。 そして、余った時間が「間違えても間に合う」の中身になります。

わたしが8分前のミスから立て直せたのは、ここから出た余白でした。

では、最後の1回に何を見るのか

振り分けが済んでいれば、最後に見るものは少なくなります。

わたしが最後に見ていたのは、「あとから状態が変わったもの」だけでした。ゴムブッシングが浮いていないか。ケーブルが引っ張られて器具から抜けかけていないか。ねじが緩んでいないか。

圧着も、輪づくりも、切断の長さも、最後には見ていません。 その場で終わらせているからです。

外から見て分かることを、外から見て確認する。最後の1回は、それでいいことにしました。

逆に言うと、誤結線を最後の1回で見つけようとするのをやめました。 そこで見つけても、直す時間がないからです。

まとめ

完成してから確認しても、誤結線は見つかりません。見つかっても、そのときには直せません。

① 最後にまとめて見直す、をやめる
② 取り返しがつかないものは、その場で確認する
③ あとから状態が変わるものだけ、最後に見る
④ 1つずつ完了させる。戻らなければ、時間は足りる

確認を増やしているわけではありません。 置く場所を変えているだけです。

そして、この振り分けは試験の前に決めておけます。 本番で「ここは今見るべきか」と考えていたら、それ自体が時間になります。

複線図の段階でどこまで書き込んでおくかで、その場の確認は「見るだけ」になります。技能に入ってから何が増えるのかは筆記の複線図は書けたのに、技能で書けなくなる理由のほうにまとめました。圧着そのもののやり方はリングスリーブの圧着のコツに書いています。